規則性のある竹編み

竹ざるでよく見られるポピュラーな編み方

秋の味覚を彩る竹かご

四ツ目編み

竹編みの中でも四ツ目編み(よつめあみ)ほど素人が手を出しやすいものはない、 と言われるほど簡単に編めるのがこれでしょう。 自分で製作した竹ざるを使いたい、そのようなささやかな夢を胸に秘めている 蕎麦職人は長野県や愛知県に何人もいるそうですし、北海道にもきっといます。 お客さんからざる蕎麦のオーダーが入ったら大将お手製の竹ざるに茹でたての蕎麦を 載せて、カツオ出汁の利いたツユと一緒に提供したい、これは全ての蕎麦屋さんが 持っている願望なのではないでしょうか。 しかしいきなり高等テクニックを要するザルは作れませんし、手始めとしてこの 四ツ目編みから練習をするのがセオリーとされています。 どのような編み方かというと、四ツ目の形になるように隙間をあけながらわりと 規則正しく編んでいくのが特徴となっています。 縦も横も当然同じ位の竹で、誤差は数ミリ程度に抑えるのがコツでしょうか。 隙間を広めにしたもの、その反対に狭めた亜流もありますが、四ツ目編みが竹編み の基本であることは疑いようの無い事実です。 また縦横の竹ヒゴを直角に交差させて四角形にするのがベーシックタイプなのに対し、 角度をつけることにより隙間を菱形にする菱四つ目編みなどもあります。 基本の四つ目編みですがこれだけでも覚えておけば、応用して数種類のデザインの 竹ざるを創生することができるようになるでしょう。

六ツ目編み

四つ目編みをマスターした人が次に覚えたがるのが六ツ目編み(むつめあみ)です。 こちらは隙間が4角形ではなく、信じがたいことに6角形となります。 「4角形では誠実そうな印象を与えてくれるけどいまいち遊び心に欠けるよね、 たまにはもっと冒険したいな」という要望に応えられる形状です。 私達が生活するこの世界では4角形はそこらじゅうに溢れています。 1日に1度も見なかった、なんて日はないほどです。 なので正方形だろうが長方形だろうが四角形には新鮮味もなく、驚きや発見、 ときめきも生み出してはくれません。 ですが6角形は違います、ときめくのです。 ですので誰かをもてなす時に使う竹細工は、四ツ目編みよりも六ツ目編みの方が 好ましいと教わったことのある人もいるでしょう。 ただ竹編みの中でも有名なほうですが、製作手順は四ツ目編みに比べると複雑になって いるのでいきなりこれに挑戦するのは控えるべきです。 優雅な隙間を演出する六ツ目編みですがそれほど華奢ではなく、斜めにも竹ひごを 編みこむことでむしろ強化されています。 強さと美しさを兼ね備えた至高の竹編み、それが六ツ目編みなので、やはり大昔から 身の回りの竹製品に採用されてきたテクニックです。

亀甲編み

亀甲編み(きっこうあみ)は、ある動物のパーツに似た模様になっていることから この名が与えられたとされていますが真偽のほどは不明です。 六ツ目編みにも似ていますし亀の甲羅に見えなくもない、それが率直な感想ですし、 恐らく亀さんがら名前の一部を頂いたのでしょう。 昔から亀は縁起の良い生物とされてきましたがそれは長寿、とても長生きするから なのは誰でも知っていることでしょう。 本当かは知りませんが亀は万年生きると噂されておりますし、仮に話半分だとしても 寿命は5千年もあることになるので、人間と比べると確かに長生きするようです。 そんな縁起の良いカメに似た模様の竹編みなら、みなこぞって使いたくなるのは 当然の心理ですしそれは現代においても不変のようです。 お土産ショップでも竹細工ではお約束のデザインとなっていますし、年配者からの 人気は非常に高いので物凄い売上を記録してそうです。 六ツ目編みとの違いは、竹ヒゴをクロスさせる部分が異なります。 より亀らしさを前面に押し出しているのが亀甲編みで、縁起の良さもこちらの方が 数段上回っているとされていそうな感じがします。 またカメの甲羅ではなくクレマチスに似ているという人もおり、そこから鉄線編み と呼ばれることもたまにあるとのことです。 まあ亀甲編みが標準的な名称なので、こちらで覚えておきましょう。