底編み

竹製容器の底部分の編み方

ししとうの収穫に使う竹かご

菊底編み

竹ざるや竹かごの底が菊のような模様だと使用者の心は躍ります。 踊らない人はお腹が満たされていないか睡眠不足でしょう。 菊の模様で嬉しくない人はいませんので、昔からかごの底面は菊底編みにするのが 粋な職人の計らいだったようです。 女性へのプレゼントは花が喜ばれる、これは万国共通のルールですし、花の模様は あらゆる日用品に取り入れられてきました。 花のプリントがされた傘や鞄はデパートで毎日売れていますし、お部屋の壁紙でも 花柄は人気が高くこちらも毎日売れています。 お花屋さんに行けば女性だけでなく男性客も陳列された草花を物色していますし、 心を癒してくれるフラワーはいつの時代も好まれているのです。 その菊をモチーフにしていそうな菊底編みは、まず竹を放射状に並べて重ねてから 製作の作業をスタートします。 真ん中から外側に向かってどんどん編んでいくのですが、かごなどの底になるので 強度は非常に重要、すぐに壊れないよう丈夫に編み上げます。 大きなかごだから底も大きく、というのなら使用される竹の数も増やして、簡単に 破壊されないよう念入りにこしらえますが、それでも不安が残るのならもっと大技 で耐久力を高める手段もあります。 それは2重底で、「二重菊底編み」という名の最高クラスの強度を誇る秘術です。

網代底編み

この編み方は網代編みの発展系なので、まずは網代編みをマスターしていなければ 使いこなすことはできないとされています。 もしもなんらかの理由で網代底編みで製作しなければならないものがあるのなら、 これを習得する前に網代編みから取り掛からねばならないということです。 物事には順序があり、あせってゴールに一直線に向かうのが最適ではない場合も 長い人生の中では度々遭遇します。 幼い頃から将来の夢がピザ屋だったからと、中学校を卒業していきなり開店させよう としても早急すぎて失敗する気しかしません。 一気に夢を叶えようとするやる気は認めますが、それだけでは成功しないでしょう。 調理師と名乗れるように努力をし、ピザ職人になるべく他のお店で修行させてもらい、 開店資金も蓄えるなど段階を経てそれからようやく自分のお店を出すのです。 このように手順を踏んでようやく開花する、これは竹編みでも同じことです。 網代底編みをマスターしたければ、下準備として網代編みから始めましょう。 どんな編み方なのか、最初は普通に網代編みでオッケーですが底尾部分が 出来上がったらそこから竹を立たせて、立体的に編みこんでいく感じです。 いつ立たせるかはかごなりのサイズ次第で、遅ければ遅いほど大きなかごになります。 もしも最後まで立たせなかったら、それはただの網代編みです。

筏底編み

この筏底編みは円柱形ではなく四角柱のように角ばった竹かごなんかの製作で 用いられる手法で、そんなに難易度は高くありません。 初心者でも少し練習すればそこそこ習得できることもあり、多くの竹製品で採用 されるこの筏底編みは角底編みと呼ばれることもあります。 四隅が角ばっているのでもっともなネーミングと言えるでしょう。 数ある底編みの中でも角を持つ製品ではこの筏底編みが最も頻度が高く、竹細工 専門店に行けばこの手法で作られた品が多数あるはずです。 角ばった竹かご、物入れ、小物入れなど筏底編みで作られる竹製品は数多くありますし、 そのうち竹職人になろうとお考えなら早いうちにマスターしておきたい竹編み方法 の筆頭かもしれませんが、何かを収納するような物はあまり製作しないつもりだと いうのならスルーしてもよいかもしれません。 底編みとは立体的な竹製品、底のあるものでしか使われませんので、竹ざるやすだれ みたいな物を製作する場合は筏底編みの出番は無しなのです。 自分の目指す姿によっては底編みの技法一切を捨ててもいい、のですがやはりそれを 商売にするつもりならば一応は取得していたほうがいいのかもしれませんし、 そこは何年後かに営業を開始してから改めて考えてください。 筏底編みでは幅のある竹ヒゴを多く使いますので技術的にはそう難しくはなく、 後からでもマスターするのは容易いかと思われます。